こんにちは。自分軸プロモーション™の佐藤靖子です。

先日、15年ぶりに、東京・丸の内のジュエリーショップに行き、大きな買い物をしました。
そう、ジュエリーです。

そのときにマーケターと顧客の2つの視点から見た「売り手の姿勢」について、シェアしたいと思います。

VISION BRANDING 佐藤靖子

この記事は、ブランディングとWebマーケティングのオンラインスクール、YASUKO SATO ACADEMY講師の佐藤靖子が、起業家の方に向けて書いています。

15年前に訪れた高級ジュエラー

30歳のときのことです。

徹夜続きの編集の仕事で心身ともにズタボロになり、
「もう続けられない」と思って7年務めた会社を辞めました。

半年ほどゆっくり休み、外国を旅したり、忙しくて読まずに積んでいた本を読んだり、
充電期間を経てようやく

「わたしは『私』で戦える、アイデンティティとなる仕事をするのだ」

という気持ちが沸々とみなぎってきたのでした。

それまでのお給料は使いたくても使う時間もなく、ある程度貯まっていたので、
新しいスタートを切るために、自分の発奮材料となる「何か」が欲しい、と思ったのです。

そして、
「自分のために、とびきり最高のジュエリーをひとつ、手に入れたい」
と思い、ダイヤモンドで評判の高い、丸の内にあるとあるジュエラーを訪れました。

担当してくださった女性が最初にいくつか出してくれたものは、
当時の私の1か月分のお給料の1.5倍ほどする価格のダイヤの指輪。

シンプルで、クロスされたデザインのプラチナリングに、小さいけれど完璧なカットが施されたダイヤが並んだ、普段使いにもできそうなものでした。

「こちらの指輪でしたら、お客様が普段、おつけになれますよ」

そう薦められて、いくつかの候補の中から、ひとつ決めて持ち帰りました。

中途半端な買い物に後悔

おそらくジュエラーの女性は、私の年齢や雰囲気を見て、
私が頑張れば手が届きやすい、かつシンプルで飽きのこないデザインのダイヤの指輪を勧めてくださったのだと思います。

ただ、ダイヤモンドのジュエリーの価格帯としては、ミドルクラス。
一列に並んだダイヤモンドはキラキラと輝いてはいましたが、そのときに満足できない自分がいたのです。

でも、私は「これからの自分の仕事を頑張るための発奮になるもの」として、
私の背中をそっと押し続けてくれるような、
その指輪を見るたびに、当時の気持ちを蘇らせてくれるような、
そんな指輪が欲しかったのだ、と思い出したのです。

その指輪も素敵でしたが、
あまりにも平凡で、どうせお金を出すなら、
自分が心底納得のいくデザインのものを買いたい、という思いが強くなったのです。

たくさんジュエリーが欲しいわけではない。

だから、一生大切に使い続けたいと思える自分にとっての逸品が欲しい、そう思いました。

そして翌朝、ジュエリーショップに電話をし、
理由を話して、もう1ランク上の指輪を見せてもらうことにしたのです。

気づきのヒント
  1. 顧客は「もっとも自分にふさわしい」と思うものなら、商品を買うときに価格では買わない。
  2. 中途半端な商品にお金を使い、後悔したくない、と思っている。
  3. 顧客が「なぜ、自分でジュエリーを買いに来たのか」理由の背景を知れば、別の提案もできる。

心底惚れ込み、納得して買ったダイヤの指輪

最初に購入したダイヤモンドの指輪は、試着したのみで翌日返品し、
新たに、「自分を発奮し、仕事を邁進させてくれる相棒」という視点で選び直しました。

そして、大きな一粒のマーキース・ブリリアントカットのダイヤモンドの周りに、
美しいカットと透明度の高いメレダイヤが三列に並べられた、
ゴージャスだけれど嫌味でない、特別な日でも、仕事上でもつけられそうな指輪を選びました。

価格は、返品した指輪の2倍。

高いけれど、その値段の差に見合うダイヤモンドの迫力と、所有欲を満たす満足感と、
人生の思い出に残すのに相応しい指輪で、心底納得のいく買い物ができたのです。

その時の担当スタッフの対応も、素晴らしいものでした。

惚れ込んだ自分にとって最高の指輪を手に入れてからは、まったく他のジュエリーには興味がなくなり、それ以降新しいジュエリーを買うことなく、15年の月日が経ったのでした。

自分の発奮のため。初心を忘れないため。

そんな想いが詰まった、清水の舞台から飛び降りる気持ちで手に入れたダイヤモンドの指輪。

その後、私は会社員とは別に自分の事業を立ち上げ、
クチコミだけで注文が入るSEOに強いWebクリエイターとして道を切り開き、
そのダイヤモンドの軽く10倍以上の収入を得られるようになったのです。

私にとって、その大きな買い物は「浪費」でも「消費」でもなく、「投資」になったのでした。

気づきのヒント
  1. 「安物買いの銭失い」と思われない商品をつくる
  2. 顧客のニーズを知り、満足を得られる結果に導く

15年ぶりに訪れたお店の変化

時を経て、私は会社員とパラレルキャリアという2足のわらじの働き方に終止符を打ち、
自分の強みと経験を生かした、オンラインビジネスのスクールをスタートするために起業しました。

ありがたいことに、起業45日目の最初のオファーでお客様がつき、
3期目の募集をするまでになりました。

そこで、「今度は、起業家として大きな飛躍をするための、新たな発奮材料として、新しい指輪を買おう」

という気持ちが湧きおこりました。

そして「私をここまで導いたダイヤの指輪を売ってくれた、あのジュエラーで買いたい」

そう思い、15年ぶりに電話をしたのです。

そして、言葉にできない違和感を感じたのでした。

気づきのヒント
  1. 感動体験を得た顧客はリピートする。
  2. リピート客への対応を考えてみよう。

なに、この対応は!

15年前に対応してくださった、30代くらいの女性スタッフはすでに退職されていたのか、
久しぶりに電話で対応してくださった女性は、ちょっと「ゴリ押し感が強い」と感じる人でした。

ちょうどセールをしているということで、素敵な指輪があったらいいな、と胸を躍らせてお店に行ったのです。

お店で対応してくださった女性は、電話口の女性ではありませんでしたが、
さりげなく石の説明を挟みながら、自分のペースで選ばせてくださる配慮を感じさせる、素敵な方でした。

ですが、私の担当は電話で対応した時点で、ゴリ押しの強いMさんだったようなのです。

素敵な指輪はたくさんありましたが、ちょっと予算がオーバーしていたこともあり、
買い物は自分軸で決める、というルールがあったので、
気に入ったものがなければ買わずに帰ろう、と思っていました。

そして、ピジョンブラッドのルビーの指輪に目を止めました。

ちょっとピンクがかった可愛らしい色とデザインで、
小さなメレダイヤが土台に並べられていました。

すでにダイヤモンドは持っていたので、こんどはルビーもいいな、と思った矢先です。

Mさんは、私の視線の先にある、そのルビーの指輪をすかさず取り出し、
「佐藤様、これをお気に入りですか?」といいながら、営業トークが始まったのです。

マーケティングを長年やっているので、Mさんが発する言葉のすべてが
「あ、そういう戦法できたか」
「ふうん、そういう心理作戦ね」
というように、手に取るように見えてしまう、ということもありますが、
私は「この人からは、絶対に買いたくない」と思ってしまったのでした。

なぜなら、そこに「顧客への想いや愛がまったく感じられなかった」からです。

数万円の買い物ならいいですが、
こちらは、新たな人生の第二幕を開こうと覚悟を決めて、自分にとって最高の買い物がしたいと、そのルビーの指輪を検討していた矢先から

Mさんは、「佐藤様、15年ぶりにいらしたのですから、ひとつと言わず、ネックレスも併せてご購入くださいよ」と言いながら、別のネックレスを取り出し、

考えた末にお断りするもなお、

「えー、価格が問題ですか?クレジットカードで分割されればいいじゃないですか。ボーナス払いもできますから」などと、

それはそれは、ゴリ押しの営業トークが始まったのです。

「欲しいのはルビーの指輪だけ。ネックレスも素敵だけれど、今回は買いません。

起業したばかりで、散財はできないし、私は自分を発奮させる、たったひとつのアイテムを探しにきたのです」

とか

「仕事を頑張るために、いつも目に入る指輪が欲しい。ネックレスは自分で見えないからいらない」

と伝えても、

「じゃあ、デスクに鏡を置けばいいんですよ」とか

「二つ買えば、もっと頑張ろうという気持ちになれるはず」

と尚も食い下がり、最終的に買ってもらえないとわかると明らかな落胆した表情を見せました。

そのやり取りを、遠くで心配そうに見ていた、最初に対応してくださった女性スタッフと目が合いましたが、顧客ごとの担当者が決まっているようでした。

ルビーの指輪は気に入ったものでしたし、セール期間で価格が半額になったこともあり購入しましたが、非常に気分の悪い思いをしました。

気づきのポイント
  1. マニュアル通りの営業トークは、顧客に見透かされている。
  2. 顧客視点に立っていない。「売りたい」「売れさえすればなんでもいい」という姿勢は透けて見える。
  3. リピート顧客を落胆させ、二度と戻らない可能性がある。

サイズ直しの連絡で致命的に

元のサイズが小さかったため、サイズ直しをお願いしてから約1か月。

Mさんからサイズ直し完了の電話が入りました。

そのときに、Mさんが言った言葉に大きな不安が・・・

「2サイズ大きくしたので、ゴールドのリング部分が細くなりました。」

え・・・?どういうこと?

そういうことって、ジュエリーの専門スタッフなら購入前に伝えるべきことなんじゃないの?

そんな思いを抱きながら

「細くなるなんて聞いていませんでした。弱くなってしまった、ということですか?」

と聞くと

「いえ、実際に細くなったわけではなくて、大きくなったぶん、視覚的に細くみえる、というだけです」と。

それなら理解できるし、つけていて不安になるわけではないからいいや、と思いましたが、

そのときに


「この人からは、二度と購入したくない」

「この店には、もう行かないだろう」

という自分の気持ちにハッキリと気が付きました。

他にも、素晴らしいジュエリーショップはたくさんあるのです。

ゴリ押しするような販売姿勢をする店とは、世界観も哲学も受け入れられない。

そう思い、受取りには、後日連絡するとだけ言い添えて、電話を切りました。

気づきのポイント
  1. 「伝わる」説明、「不安にさせない配慮」をすること。
  2. 顧客が離れる心理を知る。

顧客離れを止めるには、心をこめた対応以外にない。

受け取りの日時は後日改めて連絡する、とMさんに伝えた理由は、

Mさんに会いたくない、という気持ちがありましたが、
「受け取りにいってもゴリ押し営業される予感」があったからです。

ジュエリーというのは、お店と長い付き合いになるんです。

というのは、永い年月の中で指のサイズが変わればお直しをしなくてはいけないし、
買ったお店なら無料で洗浄、メンテナンス(磨きなおしなど)をしてくれます。

ですが、買うつもりがないお直しや洗浄のたびにゴリゴリの営業トークで売りつけられるのは御免、と思ったので、Mさんがいないときを狙っていきたいと思いました。

運よく、電話口にでたのは、お店にいったときに誠実な対応をしてくださった別の女性。

そのとき、理由は言わずに「Mさんがいないときに伺いたい」とお願いしたところ、

その女性もまた、理由は聞かずに

「承知いたしました。では〇〇日の〇時なら、Mは不在にしております」

と教えていただき、お店を再訪することになったのです。

安心感、信頼感を与えてくれた女性スタッフ

カウンターに置かれた、小さな白いジュエリーケースを
とても大切なものを扱うように、丁寧に開いて見せてくださった女性スタッフFさん。

Fさんは、以前にも対応してくださったことがありましたが、きちんと石のメリットやデメリットを伝えてくれ、どんな風に扱えばいいかを説明してくれました。

そして心配だった「リングが細く見える」とMさんが言っていた問題も、
実際には細く見えるということはなく、むしろ「地金を厚めに加工しましたので、細くみえるかもしれませんが、実際にはとても強くなっております。安心してお着けいただけますよ」

と仰っていただきました。

できあがりのルビーの指輪は、いろいろありましたがとても気に入っています。
それも、Fさんのフォローのおかげかもしれません。

私は、Fさんにお名刺をいただき、「担当者をあなたに変えてくれないか」と頼みました。

そのとき、初めて「Mに不手際なことがございましたでしょうか」と聞いてくださり、
簡単に気持ちをお伝えし、「もう店に来ない、という選択もできたけれど、洗浄やお直しができなくなるのは心配。

でもお店にくるたびに、無理やり買わせるような対応を取られると、来たくても来れなくなってしまう」と正直にお伝えしました。そんな大金持ちでもないのに、ポンポン買えるわけないし、手当たり次第ジュエリーが欲しくて欲しくてしかたない、というわけでもないですから。

そのとき店頭にいた他の2人の女性スタッフも、深々と頭を下げ、
「会社全体の問題ととらえ、今一度お客様の声を社員全員に伝えもうして改善にあたります」
と言っていただけました。

結果的には、Fさんの対応で後味の悪い買い物にはならず、素敵なルビーの指輪とともに、さらに頑張ろう!という気持ちになることができました

気づきのポイント
  1. 素晴らしい商品であっても、対応や姿勢によって顧客離れ、信頼失墜につながる。
  2. 顧客には誠意をもってつくす。
  3. ただのクレーマーなのか、会社の成長に繋がる顧客の声なのかを見極める。

まとめ

実際の体験談をもとに、レクチャー形式でまとめてみました。

個人ビジネスで成功の鍵を握るのは、新規顧客に目を向けるだけでなく、いかに既存客へのサービスも怠らないか、ということです。

そして、どんなに立派な理念やビジョンを掲げていても、現場のスタッフの対応や言動に一貫性がないと、ブランディングは崩れ、信頼を失います。

このエピソードを参考に、あなたのビジネスの在り方を振り返ってみましょう。

姿勢、態度、言葉などすべてに、あなたの顧客だけでなく、横のつながりや知人友人すべてに、「本当の姿」は透けて見えている、ということを心に留めておいてくださいね。

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